清算の雨に傘はいらない

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部屋の照明を眩しく思うのは、自分が光とは反対の色に属してしまったからなのか。 『――なんなら外の雨に、背中押してやろうか』 やっぱり感傷的になっているみたいだ。遮断した視界の真っ暗な深淵から、今までの記憶が瞼の裏で色づく。 『これからは二人でがんばりなさい』 『まだ、待っててやるよ』 『〝ごめん〟も〝ありがとう〟もいらない』
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