清算の雨に傘はいらない

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触れていた窓から手を離す。玄関に向かい、扉に手をかけた。 扉の向こうには私を射抜こうと降り続ける雨の音。 『怖くないから』 『お前がここに、居ればそれでいい』 兄さん。 雨の向こうの、生まれた場所に、帰るよ。 (さよならーーー兄さん) 扉を開いた。 …傘は、もういらない。
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