心は雨に阻まれて届かなかった

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まるで他人事を聞いているような。 自分の中のモラルが、目の前の現実に拒絶反応を起こす話だった。 「先輩…大丈夫ですか?」 初めて顔を合わせた以前の喫茶店。 洒落た内装が今の俺の感情に寄り添わず、気遣って声をかけてくる裕司郎に返事をする余裕もないほど、頭の中は両親に対する嫌悪で飽和していた。
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