心は雨に阻まれて届かなかった

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「…何で言わないんだよ…」 「先輩…」 「いつも…なんで俺に何も話さない…!」 結局届かなかった想いが完全に行き場をなくして俺のもとに戻ってくる。 お前から生まれたこの気持ちなのにお前がいないなら、もうこの気持ちも消えていいはずなのに。 消えるどころか、どうしてこんなに胸を占めているんだろう。 心臓の一部みたいに。 「…!」 そこで、店内の音楽とは別の音が耳に入り込んで俺は顔を上げる。 「…雨?」
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