心は雨に阻まれて届かなかった

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そう言いながらもいつにない大雨に裕司郎も気がかりを覚えたようで、取り出した携帯電話を操作して耳に当てた。 「ーーーセンセ。俺だけど、明伎はど…」 俺の予感が冷たい確信に変わって背中にまとわりついた…裕司郎の顔色が一瞬で反転したその様子に。 「おい、明伎は」 焦れて促せば、なかば放心したままゆるゆると携帯電話を差し出した裕司郎からそれを受け取る。
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