心は雨に阻まれて届かなかった

8/10
前へ
/572ページ
次へ
「川上、」 『連! 明伎がいないんだ!』 「…!」 『どうしよう…っ雨が降ってるのに、部屋のどこにもいないんだよ…っ』 心臓がどくりと早鐘を打ち鳴らす。 この闇みたいな大雨の中、細い身体を雨に打たれてさまよう明伎の背中が脳裏を過ぎった。 「…っ、近くを探しててくれ、俺達も探す」 電話を切り裕司郎につき返して席を立つと、青ざめた顔が俺を見上げてきた。 「先輩」 「大丈夫だ。心当たりがある場所を探してくれ」
/572ページ

最初のコメントを投稿しよう!

452人が本棚に入れています
本棚に追加