ただ、君の幸せを願う涙

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私をその腕に受け止めてくれた兄さんなど、まるで初めからどこにもいなかったように今目の前の兄さんは。 この降りしきる雨と同じ冷たさで、私を射抜く。 (…だめ) 引き返すことも、立ち止まることもしてはだめ。 ここまで一度も迷いに足を止めなかった時点で私は、居場所になってくれたみんなへ帰れる人間じゃなくなったのだ。
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