ただ、君の幸せを願う涙

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塀に頼って立ちすくんでいた身体を、なけなしの気力で直立させて前へ進む。 氾濫する雨に意識を混濁されながら一歩、二歩、先へ進むたびに兄さんから遠ざかっていく。 そして兄さんと向き合う位置へ立った。互いの心が見えなくなる一番遠い場所にたどり着くまでを、兄さんはただじっと見届けていた。
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