ただ、君の幸せを願う涙

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兄さんは何も言わない。ただ目だけが見えない言葉となって私に向けられている。   (どうして来たの) 会いたくなかった。 だって今、手を伸ばせば触れられるのにと私を巡る五感が泣いて悲鳴を上げている。 (…ねえ、) もういいでしょう私。 もう十分、兄さんを縛りつけてきたじゃない。
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