ただ、君の幸せを願う涙

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「私が行きたいんだ…放して兄さん」 「お前の出したくだらない答えなんかどうでもいい」 「…“くだらない”…!?」 「言うべきことが他にあるとは思わないのか」 「ッそんなの…!」 兄さんが何を聞きたいかは分かってるよ。だけどもう十分みんなを振り回してきたのに『助けて』なんて、どんな気持ちで言えばいい? 『“ごめん”も“ありがとう”もいらない』 欲しいのは別の言葉だ、と兄さんは言うけど、私に言えることはその二つしかないと兄さんは理解してくれないでしょう。 そのたった二つさえただ日を経るだけで山ほど積み重なっていくことを。
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