帰るところ、待ってくれる人

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「離れようと決めたのは明伎だろ」 裕司郎が抱きしめられている私の頭を、いつものようによしよしと撫でる。   「明伎が言ったことくらいわかるよ。…どんなふうに考えて、どんな思いで言ったのかも」 だからがんばったな、と。 今度は親友がその言葉を微笑みながら口にして。 「それがお前のがんばり方、だろ?」 ぎゅっと唇を噛まないと、大声を上げて泣いてしまいそうだった。
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