帰るところ、待ってくれる人

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「そう…」 だからたぶん、俯きそれだけを繰り返したのは、それしか言葉がなかったのだろう。今の自分に許される言葉が、今は無いと。 母が俺から引いた自分の両手をじっと見つめたのは、そこに纏わりついた罪を見つめたのだと、俺には分かった。 「…あの子が…」 …母はその手で、涙の伝った顔を覆うのだった。
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