「さよなら、明伎」

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早朝の便で出発すると伝えていたので、川上の運転でまだ薄明るい程度の空の下を明伎たちは空港に来ていた。 それでもすでに出発時間は迫っている。 みんなが俺へ別れを告げている間、その数歩先では母が距離を保って俺を待っていた。 「先輩、お気をつけてくださいね」 川上に続いて裕司郎が、俺に右手を差し出してくる。 それにうなずきながら自分も右手を出して裕司郎に応えれば、裕司郎はふいにその手を引いてきて俺は前に乗り出した。
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