「さよなら、明伎」

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「元気で。勝手に連絡入れるんでよろしく」 …明伎が明伎らしい答えにたどり着けたのは、裕司郎がいたからだ。    裕司郎がいなくては、明伎の答えのひとつとなるために俺が今ここに立つことも、きっとできなかった。 足元の危うい道で幸せへ向かって歩く兄妹を、無事に通り過ぎるまで、片隅からいつも裕司郎は見守っていたのだ。 「たまには先輩から手紙だけでもくださいね」 「ふ、たまにな」 「それはそれでひどいなー」 けらけらと軽く笑って、裕司郎は俺の手を放したのだった。
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