「さよなら、明伎」

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俺達のやり取りをずっと見守っていた裕司朗が明伎の隣に来て背中を支え、 その後ろで控える川上にいたっては耐え切れずハンカチに顔を突っ伏している。 「時間よ、連」 距離を置いて待っていた母が、声を投げかけてくる。 俺の元に歩み寄って来た母は、そこで初めて明伎に目を向けた。 その視線を、明伎もまた真っ直ぐに受け止めて。 一瞬の見つめ合いのうち、言葉は交わさず、そのまま母に頭を下げた。
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