大人へ、未来に一番近い今へ

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「せんせい! ここ分かんない」 漢字のプリントの回答に赤丸を描きかけた手を止めて、私を呼んだ子供のもとへと席を立つ。 プリントを前にうんうん唸る男の子の傍で腰を折って、問題を覗きこんだ。拍子に肩から滑り落ちた長い髪を鬱陶しく耳に掛けながら、その問題に目を通してみると。 「んー、これは前にも教えたんだけどなー」 「うっそだ、聞いてない!」 「ほら。分母の数字が違うから、まずはどうするんだっけ?」 「あ、通分!」
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