大人へ、未来に一番近い今へ

4/13
前へ
/572ページ
次へ
教わったことを思い出したようで、男の子は白い歯を見せながら「わかってたし」なんて言いつつまた問題に取り組み始めた。 それにクスリと失笑しつつ、席を立ったついでに他の生徒の席も巡回していく。 席と言っても学校にあるような立派なものではなく、畳の上に小さな卓を置いているだけ。 自宅の部屋を二つほど改装して繋げたこの塾は、教室と呼ぶにはかなりアットホームな感が残る。 この家を解放する、そこが私のゆずれないこだわりだった。 父に会いに行き、塾を開きたいと何度も頭を下げて許しを得た、大切な部屋だ。
/572ページ

最初のコメントを投稿しよう!

452人が本棚に入れています
本棚に追加