大人へ、未来に一番近い今へ

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満足げににっかり笑った裕司朗は、じゃあなと手を振って帰って行った。 「ほんと、女々しいな」 静かな音で閉じられた戸を見つめながら、自分に苦笑する。 …髪は、乗り越えてきた時間の長さが、目に見えて分かるから。 ピアスは、少しでも大人になりたかったから。鏡に映った自分が大人の姿であれば、少しでも気休めになったから。 …なんて、言ったらあなたは笑うだろうか。 兄さん。
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