あの頃未来だった場所で、あなたを待っている

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塾が始まるまでの空いた時間に、使用する教材や宿題などのプリント類を印字、製本していく。 このためにコピー機をまる一台購入した。 「やっぱ、業者に製本頼まない?」 まだまだ山と積まれた未コピーの原本を前に、親友がだらりと机上に顎を乗せる。 私はコピー機に原本を読み込ませてキーを操作しながら、裕司朗の懇願を笑顔で跳ね返す。 「だめだよ。教材にお金をかけちゃったら塾生の月謝を値上げしなくちゃいけなくなるでしょう。うちくらいの生徒数なら自家作成は当たり前。中身は立派なんだし、これで十分だよ」 「そーゆう切り盛りは強くなったよなー明伎ちゃんは」 「あ、終わった。次ちょうだい」 「はいよ。…にしても遅いなーセンセ」
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