あの頃未来だった場所で、あなたを待っている

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自分で選んだ道だから、後悔は何もない、けれど。 こんな瞬間はどうしても、隣に兄さんを探している。 6年前からずっと空いたままの右手が、寂しかった。 「…?」 コピー機の騒々しい稼働音の隙間から、ふと別の音が混ざり込んだ気がして後ろを振り返る。 しばらく機械音に打ち消されていたらしい雨音が、窓を叩いて私の耳を打っていた。
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