「おかえり、兄さん」

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傘を手にする時間も惜しくてそのまま外へと出ると、晴れの空から小振りの雨が肌を濡らした。 雨粒を吸ってしなだれていく髪を肩へ払いながら、飾り程度にある階段をもどかしく駆け降りる。 けれど敷地から出たところで、走り続けようとした足は止まった。 …家を見上げるようにして雨に打たれている、その姿を見つけて。
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