「おかえり、兄さん」

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どうにか絞り出された私の声に、ゆるりとこちらを振り向いた彼は。 「―――ああ、変わったな…大人の女だ」 自分の知らない時間の流れを私に見て、変わった、と切なげに呟いたその声。    私の覚えている声だ。 過去の声がここまで届いてきたみたいに。 「明伎」 昨日まで遠い遠い夢だったそれが、いま目の前にある。
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