雨の記憶

あなたと虹になる

「何度か、会いに行ったことはあるんだろ？」

「ん…父さんとはね、今でもまだ壁がある…でも、あの家で塾を開きたいってお願いに行ったとき、ちゃんと会ってくれた。家を使うことも、許してくれた」

〝好きにしろ〟と父は言った。お前の好きにすればいい、と。

それは突き放した冷たい言葉と受け取れるかもしれない、でも父の意図は決してそうではないと私には分かったのだ。

〝やってみせろ〟

父の言葉を、私はそう受け取った。

少しずつ、少しずつ。壁は取り除いていける、と。