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何故こんな箱が…?
僕は、しゃがむと大きめの箱を抱え、家へ入った。
__中身を見る位なら、いいよね。
自分を納得させると、
そっと蓋を開けた。
ぱこ
中身は、
グローブと全身タイツのような不思議な服だった。
「気持ちわる、、、」
だが、間違えて届いた可能性がある以上、捨てるわけにはいかない。
そのとき、服(?)に手紙が挟まっているのを見つけた僕は、
好奇心から読みはじめた。
「拝啓、三浦舞乃様
いきなりの荷物配達、お許し下さい。
さて、突然ですがわが社はこの度新しいロールプレイングゲームを開発致しました。
そこで、舞乃様にお試しプレイヤーという形で我が社のプロジェクトに参加してほしいのです。
安全性は立証されております。
勿論、ただで、とは申しません。
100万円、でいかがでしょうか。
了解の返事を頂けるならば、
下記の電話番号にお手数ですが連絡お願いします。
いいお返事を期待しております。
090_****_**** 溝野 遥利」
なんだこれ、、、気持ちわるい。
僕は自分への荷物と知り、更に吐き気を覚えた。
そして、100万円という所で目を留めた。
自分はお金につられるような人間ではない。
だが…
母、陽子の顔が浮かんだ。
父が心筋梗塞で天に召されてからというもの、
女手一つで中学2年生まで育ててくれた母。
欲しいものも買わずに、余裕がない中
「舞乃、これで流行りの服でも買ってきなさい」
と一万円札を自分に渡す母の姿を思い出し、胸が締め付けられるような思いに駆られた。
100万円。
中学2年生の僕には、あまりにも大きかった。
ピッピッ
トゥルルル…
ガチャ、
「はい、溝野ですが。」
「__もしもし?」
そういう溝野に、
僕は呼吸を整え、受話器を耳に当てた。
「_もしもし、三浦舞乃です。
…お宅のプロジェクト、参加させて頂きます。」
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