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「何から説明したらいいだろうか、、、」
溝野は、ふぅ、と息をついた。
「…まずは我々の存在理由だね」
顔が自然に引き締まる。というより、強張る。
ダメダメダメ、舞乃。弱みを見せたらつけ込まれるぞ。
そんな様子に気づいたのか、溝野はふっ、と微笑んで、
「…そんなに緊張する必要はないさ、こちらからお願いしているんだからね。」
一呼吸置いて、溝野は話し始めた。
「私達は、VHWというシステムを研究、開発したんだ。VHWとは、《virtual human world》の略称で、限りなく現実世界に近い仮想世界、という感じだろうか。
私達はVHWを五感、感情、感覚、個人の思考まで99%完成させた。」
溝野はそこまで話すと、残りの珈琲を一気に飲み干した。
僕も、最後の一口のチーズケーキを口に入れる。
「ええと…ああ、そうだ。99%は完成したものの、残りの1%をどうしても完成させたく、何がたりないのかを必死に探した。、、、そして見つけた。、、、君たちにしか感じ得ない細かな感覚、それが残りの1%だ。
青春時代の細かく、清らかな感覚が足りなかった。、、、もう私達は思い出せない。そのために、君に変な荷物や手紙を送ってしまってすまなかったね。」
溝野さんはどこか淋しそうな表情を浮かべた。…そうだよね。本当は自分が真っ先にプレイしたいはずだ。そんな事を考えていたが、僕は一ミリも顔に出さない。
「…聞きたいんですが、なぜ僕なんですか?それに、なぜ個人情報を知っているのですか?」
いくら研究のためとはいえ、個人情報を入手するのは法に引っかかるはずだ。
そして、質問した瞬間溝野の顔色が悪くなった。
「…声に出せないんだ。」
そう言うと、携帯電話をいじりだした。
しばらくすると、携帯電話の画面を僕に向けた。
そこには、完全に予想外の言葉があった。
[このプロジェクトは、日本政府からの命令なんだ]
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