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ジリリリリリリ
ん?
目覚ましの音だ。
私は目を覚ます。
カーテンからは朝の日差しがうっすらと差し込んでいる。
「・・・・あれ・・・涙・・・」
私はどうやら泣いていたようだ。
「どうしたんだろ、なんで涙なんか・・・え?」
私は何が起こったのか判らなかった。
でも、これはいつもの日常の現実だとは理解できてる。
でも、でも!!
この手に握られてるものは・・・
赤いかんざし。
私は思い出した。
私を世界で一番愛してくれてた人の事を。
「じ、んたさ、、、ん・・・」
私はその名前を口にした瞬間、胸が熱くなって胸が締め付けられた。
やっぱり、夢だったんだ。
私はとても残念な気持ちと共に、あの本当に幸せな感覚を抱いた。
でもかんざしはこの手に現実にある・・・
どうして・・・
どうしてこれは私の手にあるの?
夢だったはずなのに。
夢の中だけの私の王子様。
その王子が私にくれた大切な宝物。
あれはずっと自分の望んだ世界で、初めてあんなに愛した人との時間を示すものが私の今この手の中に。
そのかんざしを私は強く握り締めた。
そしてベッドの中で呟いた。
「私、幸せだよ」
そして、私はまたいつもの日常に戻る。
でも今日からの私はちょっと違う。
「私は幸せになってみせる」
そう自分に言い聞かせて、仁太さんに貰ったかんざしを自分のバッグに入れても今日も会社へ出勤していった。
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