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「祝言を挙げよう」
彼はそう私に言った。
祝言・・・
それって結婚っていう事よね?
あぁ・・・
もう、私は涙を抑えきれない・・・
なんでこの人は私の欲しているものばかりをくれるの?
こんなに愛おしくさせるの?
これで泣かないでいるなんていられないわよ・・・
「アリサ。何故泣くんだ?嬉しくないのか?」
バカ・・・嬉しくない訳ないじゃない。
こんなに優しい気持ちになって、天にも舞うような気持ちっていう比喩があるけれど、本当にそんな感じなの。
「ううん、嬉しくって。もう、仁太さん。私貴方の為なら死ねるわ。一緒にずっと生きていきましょう。そして…私の近くでいつも笑っていて。私もいつも貴方の傍で愛してるって言い続けるから」
「アリサ・・・あぁ。約束するよ。どこにもいかない。俺はお前だけのものだ。愛してる、お前が望むなら何度でも言おう。愛してる、アリサ」
彼はまた私を優しく抱きしめる。
私も彼を抱きしめる。
体温が伝わる。
彼の精一杯の告白を私はこの体と心で今感じている。
一世一代の告白をした彼の鼓動は早かった。
そして彼は一度体を離して袖からかんざしを取り出した。
「これ、お前に似合うと思って。祝言の誓いだと思って受け取ってくれ」
彼は赤くて綺麗な花模様の描いたかんざしを私に渡してくれた。
「素敵・・・!有難う、仁太さん!大切にするから・・・本当に有難う!」
そして私はそのかんざしを彼に挿してもらった。
「やっぱり似合ってる。はは。可愛いな」
よしよし、と頭を撫でる彼。
私は照れて少し俯く。
そのあと、また彼が抱きしめてくれた。
「愛してる」
彼の鼓動と低い声が心地良く私に伝わる。
その音を聞いて私はまた涙を一筋流して瞳を閉じた。
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