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「ねえ、ハル…。」
ハルの可愛い寝顔。
数年前に仕事が大成功して、途端に忙しくなってしまった両親の変わりになろうと、恋人もつくろうとせずに頑張ってくれるボクの姉さん。
今だけはこの寝顔もボクのもの。ボクだけのもの。誰にも渡さない。
愛されている自信はある。
ただし、それは家族愛。
とても大きな幸福を感じながらも、絶対に男としてみられることはないという絶望も同時にボクは感じている。
「ねえ、ハル。
ボクだって男だよ。
男の前でこんな顔して寝たりしちゃダメだよ。」
どうか、どうぞ今度この世に生まれるときは、他人として生まれますように。
ハルの髪をそっと掬って、ひとつキスをしてから、ボクはそう祈るんだ。
fin.
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