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『………ない』
「?、なに?洸ちゃん何か無くしちゃったの?」
『違ぇよ、無くなったんだよ』
何が?と智が首を傾げながら聞いてくる。
おかしい。確かに机の上に置いといたのに…。ちょっと席を外したらいつの間にか無くなってしまった。
『俺さ、ここに飲みかけのジュース置いといたよな』
「……。無くなってるね…」
『………』
ふざけんなよマジで。まだ一口ぐらいしか飲んでねぇのに。どこ行ったんだよ俺のメロンソーダ。
俺のテンションが一気に下がったのが分かった智は「新しいの買って来てあげるから」と慌てて慰めてきた。
――翌日
『ない』
「…なに?またジュース無くなっちゃった?」
『体育着』
「え」
『ロッカーの中から無くなってる』
「だって今日体育やったばかりだよ?」
『無い』
「……」
――翌々日
『智、体育着貸してくんね?』
「どうかしたの?」
『Yシャツどっかいった』
「……。洸ちゃん、それさ最早無くなったとかじゃないよね!明らか盗まれてるよね!?もう3日連続だよ!!?」
やっぱりそう思う?て聞いてみると、当たり前じゃん!と勢いよく頷かれた。
「しかも盗まれたもの全部使用済みとかそういうのばっかだよ?」
『気持ち悪ぃ嫌がらせだな』
「そのうちパンツまで盗まれちゃうよ!!」
『それ嫌がらせの域越えてんぞ』
これはもしかして他の族から青龍への新たな攻撃なのかもしれない!総長からジワジワと攻めていく戦法だよ!と智は大袈裟に話を拡げていく。
とにかく犯人を探すために今夜青龍の皆を集めよう!と智が何故か張り切って指示を出してきた。その勢いに負けて俺は思わず頷いてしまった。
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