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「と!いう訳で今日は皆に集まってもらいました!」
来てない人はいないよね?と智が笑顔で言うと全員背筋をピンと伸ばして「はい!全員来てます!!」と何時もより数倍声を張らして言ってきた。あれ、俺ん時こんなだったっけ。
今日智は「絶対犯人を見つけてやる!」と意気込んで、どうやって集めたのか青龍の拠点としている廃倉庫に1人残らず全員を集結させた。
「洸一さん!」
俺が頬杖をついてその様子を見ていると横からよく知る後輩の声が聞こえた。
『おぉ、ツル。どうした?』
そんな切羽詰まった顔して。と聞くとツルは額に微かに汗をかいていて、俺の肩をガシッと掴んできた。目なんて血走っている。
「どうしたじゃありませんよ!毎日着て洸一さんの匂いが染み付いたYシャツを盗むなんて、くっそ。許せねぇっス、犯人見つけたらただじゃおかねぇ!」
そんな事細かに俺のYシャツの説明をしなくていいから。
「とか言っといてツルが犯人じゃないの?」
ツルが俺の横でメラメラと闘争心を燃やしているとその熱を冷ます様に冷たい声が向けられた。
「何言ってんスかキクジーさん」
「だってそんな変態染みた行為する奴なんてツルしかいないでしょ」
「万年ナルシストは黙ってろ!」
「なっ、ナルシストを馬鹿にするな!」
「こらこらー。仲間同士で喧嘩するんじゃない」
ツルとキクジーさんが取っ組み合いを始めそうな感じで言い合いをしているのを我関せずな感じで眺めていると、もはや族内でのお決まりのようにいつもの如くムッさんが2人を止めに入った。
この3人は別に仲がいいとは言えないがどうしてか集まってしまう3馬鹿トリオだ。
「ここは平和的に穏便に話し合おう…。そして俺を殴れ!!」
「「何でだよ!」」
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