第二話

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入学式が終わり、担任が発表される。 クラスで自己紹介が行われると、早速と言わんばかりに体力テストが行われた。 1-Ⅰと、他のスポーツ特化クラスのみが参加し、その他にあるらしい学力特化クラスやなんかはそれら専用のテストが行われるらしい。 説明してくれたのは、クラスの中でも一際小さな少年だった。 「君は、…なんて可愛らしい大きさなんだい。」 ついつい声を掛けられたときに驚きすぎて本音が滑ってしまったくらい。 それに気を悪くする様子もなく、少年は大笑いした。 「山本君がおっきいからだよー!俺だってなぁーじきにぐんって成長するもんねー」 「僕は大きいのかい?」 「おっきいじゃん、170cmくらいあるでしょー?ま、このクラスおっきい人多いけどねー」 確かにそれくらいあったはずだ。 そうするとこの小さな少年は140cmにも満たないことになる。 「俺あらかわけんー。けんでいいよー。」 「…けん、」 「呼び捨てしにくいなら、けんちゃんでもなんでもいいよー」 栗色の髪の毛は伸ばしっぱなしで肩よりも長く、くせ毛のようで波打っている。 目は僕のものに似た、深緑色だった。 それは新緑を思い出す、綺麗な綺麗な緑。 嵐川健は、陸上特待だった、 僕が人生で初めて足の速さで負けた男だ。 「健ちゃんは、早いねぇ…」 肩で息をしながら声を掛けると、嬉しそうに健が振り返る。 汗1つかかないで爽やかな笑顔を見せた。 「へへー。でも山本君くらい足が長かったらもっと早く走れるんだけどなぁ」 「なんだいそれ…そうしたら、僕はいよいよ相手にもされなくなるじゃないか。」 「…そうかもね、へへー」 健がまた嬉しそうに笑う。 また笑顔だ。 不思議な気持ちになった。 その他にも、様々なスポーツを実践させられた。 僕は何度も、それらの競技で敗北した。 初めてのことだった。
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