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「うわー…」
隣からリリーの感動した声が聞こえる。
確かに、サーカスを見たのは僕も彼女もこれが生まれて初めてだ。
だが僕は感動とはまた別な雰囲気を感じていた。
「皆さーんっこんにちわー!」
ステージから一人の青年が観客に声をかける。
観客はこんにちわー!と挨拶を返していた。
青年はうんうんと嬉しそうに頷く。
白く整った顔だちに目を真っ黒く囲んだメイク。
片目は黒く囲んだ目尻から黒の涙が頬を伝っているようなデザインを描いていた。
透き通ったオレンジの瞳と髪色によりステージでの存在感がすごい。
「皆元気だねー。昼の部のサーカスへようこそ!皆さん第一回目の大道芸、とくとご覧あれ!」
青年は観客に手を振ると空中を舞った。
その光景に、皆はざわめく。
「さあ、…宴の始まりだ」
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