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サーカスでは玉乗りや猛獣使い、人をはりつけた的にナイフを投げつける技、綱渡りなど、多彩な演技を見せつける。
そのたびにリリーは隣で小さな悲鳴をあげたり、笑い声がしたり、驚きの声を上げたりしていた。
「さあ…いよいよフィナーレとなりました。」
再度、オレンジの髪色をした青年がステージに立つ。
フィナーレという言葉に観客は残念そうな声をあげていた。
「そうがっかりしないで。また見に来てよっ。僕達道化師(ピエロ)は君たちをいつでも待っているよ」
道化師(ピエロ)と称する青年はニコニコしていたが、微かに僕に向かっているように見えた気がした。
彼は一体だれだろう…?
メイクをしているから知り合いだと気づいていないだけか…?
「さ、フィナーレにふさわしい演技を今から見せよう。皆、用意してっ」
彼の一声に周りのもの達は大きな水槽を運んでくる。
ステージいっぱいを使う、とても大きな水槽だ。
水槽の底には手錠が二つくっついている。
「フィナーレは脱出ゲーム。見てわかる通り、そこの手錠に繋がれた状態でこの大きな水槽から脱出するよ。今回は特別に観客の一人と一緒に脱出したいな」
彼…道化師(ピエロ)はステージを見回す。
観客は自分をと言わんばかりに手を挙げていた。
「うーん…じゃあ、そこのクリーム色のお嬢さん」
道化師(ピエロ)が名指したお嬢さん。
その目線の先には…リリーがいた。
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