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そのわずか30分後だった。
その家に住む凜は、
普段なら絶対に起きないであろう時間に何故か目が覚めた。
トイレに行こうと思い部屋のドアを開けたとき、凜は異変に気が付く。
なぜか、うっすらと血生臭さが感じられた。
その臭いは、凜が今までに経験したことのないような、薄いながらも吐き気を催すような、強烈な臭いだった。
経験したことのない異変に、冬なのにも関わらず、凜は冷や汗をかき、足が震えながらも、凜は急いで親の寝室に向かった。
近くなる度に、血生臭い臭いが濃くなっていくようだった。
ドアを開けると今までの臭いは比にならないような臭いが充満し、危うく倒れそうになった。
部屋の壁にはなにかが飛び散っているようだった。
凜は、それがなんだかすぐにわかった。頭が真っ白になりその場に座り込んだその時、妹の顔が頭をよぎった。
凜は立ち上がり重い足を動かし、妹の部屋に向かった。
不思議と、血生臭いあの臭いは遠ざかっていっているような気がした。
―その時だった。
ガタン
誰もいないはずの凛の部屋から物音がした。
凛は方向を変え、自分の部屋に向かい、ゆっくりとドアノブを回し、押した。
そして、目に映ったのは白い服を着た男の背中だった。
凛の気配に気が付いたのか、その男は振り返った。
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