見知らぬ者達

3/16
前へ
/27ページ
次へ
そのわずか30分後だった。 その家に住む凜は、 普段なら絶対に起きないであろう時間に何故か目が覚めた。 トイレに行こうと思い部屋のドアを開けたとき、凜は異変に気が付く。 なぜか、うっすらと血生臭さが感じられた。 その臭いは、凜が今までに経験したことのないような、薄いながらも吐き気を催すような、強烈な臭いだった。 経験したことのない異変に、冬なのにも関わらず、凜は冷や汗をかき、足が震えながらも、凜は急いで親の寝室に向かった。 近くなる度に、血生臭い臭いが濃くなっていくようだった。 ドアを開けると今までの臭いは比にならないような臭いが充満し、危うく倒れそうになった。 部屋の壁にはなにかが飛び散っているようだった。 凜は、それがなんだかすぐにわかった。頭が真っ白になりその場に座り込んだその時、妹の顔が頭をよぎった。 凜は立ち上がり重い足を動かし、妹の部屋に向かった。 不思議と、血生臭いあの臭いは遠ざかっていっているような気がした。 ―その時だった。 ガタン 誰もいないはずの凛の部屋から物音がした。 凛は方向を変え、自分の部屋に向かい、ゆっくりとドアノブを回し、押した。 そして、目に映ったのは白い服を着た男の背中だった。 凛の気配に気が付いたのか、その男は振り返った。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加