A

3/3
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
「美月?」 我に返ると、いつの間にか 桐本くんは私の隣に腰かけて いた。 「桐本くん、どんどん 上手くなってるね」 彼には音楽の才能がある。 私はそう確信していた。 繊細で、力強い音、 そんな彼のピアノが 私はとても好きなわけで。 「俺、進路決めた 音楽の大学行くよ」 「!」 だから、この一言が 嬉しくて、嬉しくて… 今までで一番の笑顔を 浮かべ頷いた。 「美月」 「?」 桐本くんは私を優しく 抱き寄せる。 耳元で、低い声が囁いた。 「俺に夢を与えてくれて、 ありがとう…」 「!!」 彼は真っ赤な顔を隠す ように強く私を抱きしめる。 私はさっきよりももっと 幸せそうに笑っているだろう。 .
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!