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『じゃあ花屋で買えば いいじゃないですか 花壇の花はみんなが 一生懸命育てた大切な ものなんです』 言い方キツかったかな? と、内心少しヒヤヒヤ したのだが、先輩は笑顔 を崩さなかった。 『じゃあ、俺も育てるよ♪』 『え…?』 『花壇のスペース借りても いいかな? 家だと花育てる場所が なくてね』 『……』 少しのスペースなら大丈夫かな そう思い、私は黙って頷くと 先輩はキラキラした笑顔で ありがとう!と言う。 ついに、先輩が育ててきた スズランがキレイに花を 咲かせた。 今日、南先輩は好きな人に 告白するらしい。 私は何故かもやもやして、 ニコニコしている先輩を 見たくなくて、地面に視線を 落としたまま動けないでいた。 「なっちゃんのおかげで 花咲いたよ ありがとう」 「私は何もしてませんよ スズラン、キレイに咲きましたね おめでとうございます 今から告白しに行くんですよね? 頑張ってください」 ペラペラと勝手に口が 喋って、目からは涙が 溢れそうになる。 「なっちゃん」 優しい声に胸が トクンと高鳴った。 やだやだ、早く行ってよ。 「!」 不意に感じた背中の温もり。 目の前にはスズランがあった。 「先輩…?」 「なっちゃん、好きだよ」 え…… 「最初はさ、違う子が 好きだったよ でも…花壇に行くと いつもなっちゃんがいて、 花を見てたらなっちゃん のことばかり考えてて いつの間にか、好きに なってたんだ」 「っ……」 あー、もう… 「先輩、ずるいです」 私はスズランを受け取り、 にっこり微笑んだ。 .
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