プロローグ いたって穏やかだった日のお話

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明乃がその場で泣き崩れてしまったのだ。そりゃもう幼稚園児もびっくりなレベルで泣き出してしまった。 おい、いくらなんでもモロすぎだろ。 人の胸倉勝手に思いっきりつかんで壁にぶつけて脅迫じみた質問をしてきた女とは思えないモロさだ。ガラスのハートってレベルじゃねーぞ。 「…ったく、しょうがねーな。できない無茶はするなよ…」 さすがにこれには俺も気が引けた、というか明日先生たちからこのことについて追及されてもめんどくさいので、明乃に声をかけることにした。 「うっ…、ぐすっ…、うぇ…」 「ほら、どうしたんだよお嬢ちゃん。何か俺に聞きたいことあったんだろ?ちゃんとお兄さんに言ってごらん。頼み込む口調でな」 「うぅ…、私…、何でも屋をやりたいと思って…、それで聡介に声をかけて…、でも馬鹿正直に頼み込むのも恥ずかしくて…、それで…。ごめんなさい…、うわぁ~ん!!」 ここまで泣かれると完全に俺が悪人だ。しょうがない、コイツの頼みを引き受けるのは別に今から始まったことじゃねーしな。引き受けてやるとしよう。 「わーったよ。やるよ、やってやるよ何でも屋」 座り込んでしまった明乃の肩を軽くたたきながら俺はそう言った。 「ホント!?」 「お前がそんなに泣くと誰が思っただろうな」 「え?あ!ご…、ゴホン。それは当然よね、私の頼みだもの。断れるはずがないわ」 これはヒドイな。一度突っ込んだけでここまでキャラが変わるとは。 いくらなんでもこれは多重人格を疑うほどの変貌ぶりだ。昔からこんなやつだったかなぁ…、コイツ。 「で、どこでやるんだ?その何でも屋ってのは」 こんなやり取りをやっていてもコイツの頼みが進行するわけもないので、俺はとりあえず大前提の話を聞いてみることにした。
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