プロローグ いたって穏やかだった日のお話

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すると 「ココよ」 明乃が指差したのは、俺たちから一番近くにある通称『倉庫』だった。 「は?」 あまりにも意外な選択に俺は思わず頓狂な声を出した。 「え?なに?何でも屋って、この学校でやるの?」 「そうよ、何か悪い?」 座り込んでいた明乃がさも当然化のように言ってきた。 いやいやいや、待て待て待て。普通どこかのテナントを借りてやるものだろこういうのは。 なんでよりによってこんな人が来ない場所で何でも屋なんかやらなくちゃいかんのだ。 「いや、だってお前、ここって…。他に選択肢はなかったのかよ」 「ないわよ。だってあてがないんだもの」 …ったく、もう少し計画を練ってから行動してほしいもんだが…。 しょうがない、最後まで付き合ってやることにしよう。なんでコイツが何でも屋なんかやりたくなったのか理由は分からんがな。 どうせコイツのことだからテレビかなんかの影響だろうけどな、どうせ。 「で、何でも屋の名前は?」 「名前?」 「何でも屋として開くなら、名前もいるだろ?」 「そうね…、じゃあAMCなんてどうかしら」 「AMC?なんの略だよ」 「All Mission Complete  の略よ!!!」 俺は、この瞬間から平穏な日常が静かに崩れ始めていることを実感した―――。
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