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「好き」
「嫌い」
「好き」
「嫌い」
スキ
キライ
いた。
何か寂しいことがあると、あいつは決まって俺の目の前を逃れて、この河川敷へくる。
初夏。
そこには、名前すらよくしらない、けれど太陽のような濃い黄色が印象的な花の、群生があるのだ。
「好き」
「嫌い」
「好き」
「嫌い」
「好き」
「・・・嘘だ。」
ポイ。
ああ、ほら。
何度も言ってるだろう。その花の花びらは偶数なんだよ。
好き、から始めたら降られちゃうんだ。
嫌い、から始めないと、悲しくなるだろ?
「おい」
「あ、嫌いの人。」
「おま、・・・」
はぁぁ、と大きく息を吐き出して、俺はその隣に、花を踏まないように座った。
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