ゴキブリ

2/6
前へ
/6ページ
次へ
私が生まれたのは2010年8月、 多くの兄弟と共に卵から産まれた。 私達の種類は数の多いクロゴキブリ、 よく人家に現れるゴキブリだ。 生まれて間もない私達が最初に見たのは暗い闇、 俗に言う冷蔵庫の下の空間だった。 生まれたばかりの私達は腹ペコだったので早速、 周りに落ちていた生ゴミ(人参のカス、 乾燥した米に干からびた魚の切れ端など)にかじりついた。 私達には味覚なんていう機能は存在しない。 腹を満たすためなら食べれる物は何でも食べる。 人はこれを悪食と言うがゴキブリである私達には関係ない。 時間が経つにつれ兄弟達が一匹、 一匹とどこかへ行ってしまった。 住みやすい所でも探すのだろう。 最後に残ったのは私と兄弟の一人(いや、一匹)だった。 この時私は何となく話をしたくなったので、 その兄弟に話し掛けた。 「皆どこかへ行ったけど君はどこへ行くんだい?」 「・・・・・」 兄弟はこっちを見た。 よく見たらこの兄弟は私より早く生まれたらしく体が少し大きい。 「俺には行くところ何てない。ただ、この広い世界を見ていきたい。」
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加