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この時、私は
『こいつ、ゴキブリらしくない。』
と思ったのもつかの間、目の前にいた夢見る兄弟が私の体より一回り大きなハエトリグモに目にも止まらぬ素早さでさらわれて行ってしまった。
生まれた時から私達Survival
(生き残りレース)は始まっていたのだ。
私は一瞬の出来事で何が起こったのか理解できなかったがすぐ近くの暗闇からハエトリグモが先ほどの兄弟を食べているのが見えた。
「こ、殺される・・・いや、食べられる。」
私は無我夢中で走った。
冷蔵庫の下から這い出ると昼間みたいに明るい蛍光灯で外の世界を照らしていたが私はゆっくり見物しないでどこか安全で身を隠せる所を探した。
隠れそうな所はいくらでも見つかるのだが、
ゴキブリホイホイという罠や他のゴキブリがいて隠れることができなかった。
私がなるべく音をたてないで床を走っていると空から声が聞こえてきた。
「ブーン、そこのおちびさん。どこに行くのかなブーン。」
上を見上げるとギンバエが空中を旋回していた。
「・・・君には関係ないよ。見てわかるでしょ?僕は安全な所を探しているんだ。」
「安全な所だって!そりゃあ外に出たら安全だよ!!ブーン。」
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