死を運ぶもの

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夏希が真雪の後について行って見たものは、思っていた以上に呆気ないものだった。夏希は拍子抜けしながらも、まぁ、こんなものか、と感じていた。 真雪がある一軒家で立ち止まる。 何事かと見てみると、その家の中からすすり泣きが聞こえてきた。 やがて夏希に気づいた家人が軒先まで出て来ると、家族の誰々が死んだのだ、とそう説明してくれた。 夏希は当たり障りのないお悔やみを告げると、早々に家の前を立ち去った。 「あれが死神の仕事?」 「一つではある。意外だった?」 夏希と真雪はそれから、住宅街を抜け、歩いていた。 「うん、もっとこう、魂とか見れるのかと思った。あと、鎌とか」 「ナツキには見れないのよ、人だもの。それにどうして鎌なの?」 「看取るだけなんだね」 「そんなことない。他のこともするわ」 「どんな?」 夏希の言葉に、真雪は少し拗ねたように答える。 夏希は実のところ少し安心していた。死人が出る家の前に立っている死神なんて、カラスが集まると人が死ぬ、その程度の都市伝説のようだ。 真雪には、それくらいの死神が似合っている、夏希はそう思っていた。
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