8人が本棚に入れています
本棚に追加
夏希と真雪が出会ってから数日。
相変わらず暑い夏日が続く中、真雪は毎日、決まって放課後近くになると校門の近くに姿を現した。
そうして夏希と二人並んで帰路につくのだが、決まって夏希の家の近くにさしかかると、忽然と姿を消してしまうのだった。
「どうしていつも校門に居るんだい?」
「ナツキを待ってるのよ」
「じゃあ、昼間は何をしてるんだい?」
「死神をしてるわ、一応」
二人は短い帰路の間、毎日こんな他愛もない会話をして歩いていた。
死神を自称する真雪であったが、真雪は一度もそんな言動を見せたことはなく、夏希にとって真雪は変わらず「謎の少女」のままであった。
「あぁ…そういえば、明日は土曜日か」
夏希は思い出したかのように口を開くと、何故か酷く嫌なものであるかのようにそう呟いた。
「土曜日?」
「そう、学校が午前中で終わる」
「じゃあ、明日は会えないのね」
夏希の言葉に真雪はそう答えた。明日は真雪と出会ってから初めての土曜日であったが、果たして、夏希の落胆は、真雪と会えないことを予想してのことなのかどうかは、分からなかった。
最初のコメントを投稿しよう!