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雨が打ち付ける
硝子に背をつけて座り
ふっと…部屋を見渡した
その美味しさを教えてくれた
あの人はもういない
そう…
好きになった理由はわかっているのに
嫌いだった理由は見当たらない…
重い湿度に身体を支えきれず
僕はその場に身体を横たえた
雨の雫が
見上げた天井も
薄暗い光も
温室のような蠢く感情も
窓の外に咲く紫陽花のように
心まで雨色に染め上げていく
色んな想い…
起き上がる事さえ憂鬱だ
君が居ないこの部屋は
ずっと雨が降りしきっているよう
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