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「………で、あんた誰?」
唐突に、本当の本当に唐突に、こちらに話を振ったのは、ソウマだった。
「……………ほぇ…?」
いきなりだった為、雪は間抜けな声を出してしまい、恥ずかしさでやや頬を染めるが、すぐに真剣な顔に戻し、
「……人に名前を尋ねる時は、まず自分の名前を名乗るのが礼儀ってものじゃないの?」
と、以前読んだ小説の台詞を真似て言ってみた。
"一度言ってみたかったんだよねぇ、この台詞"と、雪は思ったが、言わなかった。
だが、そう思っていたのもつかの間、
「……お前、喋れるのか?」
「……は…?」
またもや、ソウマのいきなり発言に呆気にとられる。雪が呆気にとられているとは知らず、ソウマは次から次へと、質問してくる。
「いや…というかあんた、俺の言葉わかるの?そもそも、いつ、どこから入ってきたの?あんたが着ているそれって、もしかして服?あんたって、ただの人間?それとも…」
「は~いっ!ストップストップ!」
「何だ、ユイリ。邪魔をするな」
凄い勢いでこちらへと近づきながら、矢継ぎ早に質問してくるソウマの肩を掴み、引き離してくれたのは、ソウマと一緒にいた少年―――ユイリと呼ばれた少年だった。
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