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…バタンッ…
痛みとショックで、亜夢が倒れる
…あ、さっきの言葉聞こえてねぇんじゃ…
まぁいいか。
…あ、
今気が付いたけど、鬘ずれてんじゃねぇか
横から栗色の髪が出てっし、眼鏡の下の目はでけぇし、よく見たら肌白いし
…こいつも、面白そうなこと隠してんじゃねぇか
手に付いた塵を叩きながら、目で馨を探す
馨は呆然と、亜夢ではなく俺を見ていた。
俺はオッドアイの両目で馨を睨む
俺の目は、左目が黒、右目が緋で、目立つから…という理由で緋色の右目に眼帯をしている
俺はこの緋い目が大嫌いだ
だけど、馨と一緒にいるうちに、少しは好きになれたのに…
左目、黒目の方の瞳の視界がぼやける
「…っ!!」
馨が俺の顔を見て驚いた顔をしたから、不思議に思って左目を擦ると、手に水滴が付いた。
…そっか…俺、泣いてんだ…
…まだ、涙なんて出たんだな…
正直馨、俺もビックリだ。涙なんて、あの時全部涸れたはずなのにな?
なぜか馨を殴る気はせず、俺は溜まり場から出ていった。
『いつかまた』
この場所に戻ってこれることを信じて。
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