裏切り

8/11
前へ
/104ページ
次へ
…バタンッ… 痛みとショックで、亜夢が倒れる …あ、さっきの言葉聞こえてねぇんじゃ… まぁいいか。 …あ、 今気が付いたけど、鬘ずれてんじゃねぇか 横から栗色の髪が出てっし、眼鏡の下の目はでけぇし、よく見たら肌白いし …こいつも、面白そうなこと隠してんじゃねぇか 手に付いた塵を叩きながら、目で馨を探す 馨は呆然と、亜夢ではなく俺を見ていた。 俺はオッドアイの両目で馨を睨む 俺の目は、左目が黒、右目が緋で、目立つから…という理由で緋色の右目に眼帯をしている 俺はこの緋い目が大嫌いだ だけど、馨と一緒にいるうちに、少しは好きになれたのに… 左目、黒目の方の瞳の視界がぼやける 「…っ!!」 馨が俺の顔を見て驚いた顔をしたから、不思議に思って左目を擦ると、手に水滴が付いた。 …そっか…俺、泣いてんだ… …まだ、涙なんて出たんだな… 正直馨、俺もビックリだ。涙なんて、あの時全部涸れたはずなのにな? なぜか馨を殴る気はせず、俺は溜まり場から出ていった。 『いつかまた』 この場所に戻ってこれることを信じて。 ,
/104ページ

最初のコメントを投稿しよう!

846人が本棚に入れています
本棚に追加