裏切り

3/11
844人が本棚に入れています
本棚に追加
/104ページ
…コツ…コツ…コツ… 「…ははっ…総長も大したことねぇんだな!」 たぶん、シークレットブーツであろう足音をさせながら、俺の元にあいつが来た。 馬鹿にしたような笑い声とともに。 …チッ… コイツさえいなければ… あいつが来たことで、俺への暴力が一度止まる 族の奴等はあいつが通れるように道を作り、その道を我が物顔で通るあいつに見とれている。 モジャモジャの黒髪に、何処で売ってんのかわかんねぇような瓶底眼鏡をした奴に、だ。 お前ら頭おかしいだろって感じだよな。 そんな頭おかしい奴らに好かれて喜ぶ、もっと頭のおかしい奴が俺を上から見下ろす。 そして、ぎゃーぎゃーうるせぇ声で、また意味のわかんねぇ文句を、俺に向けて叫びだした 「お前が悪いんだからなっ!! 俺を避けたりするから、こういうことになるんだぞ!! 今謝ったら許してやるぞっ!!俺は優しいからなっ!!」 うるっせぇな… …何が『優しい』だ… …仲間に頼んで、人をリンチする様なヤツのどこが優しいんだよっ… そんなヤツなんかに、誰が謝るかよ。 俺は心の底から嫌悪感が湧きあいつを睨む。 すると、あいつは泣きそうな顔をして、俺の顔を踏みつけた ガンッ… 人の頭を踏む鈍い音と共に、頭痛のような痛みが体に響く。 ,
/104ページ

最初のコメントを投稿しよう!