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「…カハッ…」
糞が…いてぇじゃねぇかよ…
あいつは、俺の顔の上に足をのせたまま、泣きそうな顔で笑う。
俺は隠しもせずに、いかにも不快という顔をあいつに向けた
「…何だよその顔は…
…謝れよ!!じゃないとこのまま痛いままなんだからなっ!!
いくら優しい俺でも、謝らないと許してやんないんだからなっ!!」
あいつは、俺の上でじたんだを踏み、暴れる。
…ガキかっての…
思い通りにいかなかったら…ほら、泣き出しやがった
あいつが泣き出すと、回りの奴等がまた俺に文句を言い出す
そんな中、あいつは俺の金色に染めた髪の毛を掴み上にあげて、俺の顔に手を伸ばしたかと思うと、右目にしている俺の眼帯の紐を触り、取ろうとした。
「…これの下ってどうなってんだよ!?みせろよっ!!
これのおかげなんだろ!?愁が総長やれてんの!!
別に喧嘩が強い訳でも、顔が綺麗な訳でもねぇんだしっ!!
…愁は特別でもねぇのに…なんで愁が総長何だよ!?
普通俺だろ!?俺は特別なんだ!!俺に譲れよ!!
皆もそう思うだろ!?それかあれだろ?脅されてんだろ!?」
…殺してぇ…ここまで殺意に駆られるのなかなかねぇぜ…
自慢じゃねぇけど、俺喧嘩で負けたことなんかねぇし、大胆、俺が造った族なのに、なんでてめぇが総長になれんだよ…
しかも俺が奴等を脅してるだぁ?
んな事してるわけねぇだろ。
…いくら馬鹿でも、ここまで来れば、コイツがおかしいことにあいつ等も気づいて…
俺が心の中で反論しながら、頭に乗るきたねぇ足を押し退けて、族の奴等がいる方を見る
…そこには、俺の予想を裏切り、バット等の武器を持った族の奴等と、俺を睨んでいる馨がいた…
「…なんでだよ…」
ぼそりと呟いたあと、俺は気付く
…すっげぇ今さらで…無意識のうちに否定していた事を…
そして『気が付きたくなかった』という自分の弱さと共に…
『あぁ、裏切られたんだな』
そんな簡単な事実に。
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