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SUZAKU SIDE
…チッ…イラつく
俺様の名前は東雲朱雀様だ。覚えとけよ?
まぁ、ソレは今はいい
そんなことより今は…俺が何故イラついているか…だろ。
突然だが俺には、好きなやつがいる
亜夢という、俺の気持ちを唯一わかってくれる、優しい奴だ
その亜夢のクラスに今日、転校生が来ると聞いて、見に来たわけだが…
2-Sの教室を開いた瞬間見えてきた、亜夢に暴力を振るう男の姿
和服を着て、目に眼帯を付けているという一見非凡な、だが、顔をよく見ると平凡な男が…
俺の亜夢に
コイツ。殺されてぇのか?
「…おい、そこのテメェ…」
俺様が怒りを隠しもせずに声をかけると、男は俺様の方を振り向いて…
俺様を見て
俺様の姿を確認して
…一瞬…そう、…ほんの一瞬だけ……嗤った。
亜夢の無邪気な笑顔とは違う
颯の嘘っぽい笑顔とも違う
人の上に立ち、人を人として見てない野郎のする笑顔…
今まで見慣れてきた表情のはず、だったが
俺は今までで一番ゾッとした
「あっ!!朱雀!」
静まっていた教室に大好きな亜夢の声が響いた。
あぁ…安心する
俺は気味のわりぃ男より、亜夢の方が大事だと思い、いつの間にか緩んでいた顔で亜夢に抱きついた。
…コレだ…このすっぽり感…
俺は近くで男が気持ち悪いと思っているのも知らずに、上機嫌で亜夢に抱きついた腕を強めた。
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