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俺が何も言えないでいると、電話の相手はもう一度『おい』と言ってくる。
…この声は、確か…
「…あ、はい!
す、すいませんっ…えっと、友達の携帯に生徒会長様が出てびっくりしてしまって…」
とっさに、優等生を演じる。
そう、この声は東雲の声だ。
「…なんで棗の携帯を生徒会長様が持っているんですか?」
俺は意味もねぇのにニコリと笑う。
すると東雲は、気だるそうに
『廊下に落ちてたんだよ』
と答えた。
…廊下に落ちてた…
…またかよ、あの糞が…
俺は口からため息が溢れるのを抑えきれなかった。
またって言うのはな?
棗はあんな顔と性格のクセして、一言でいうとお、お、おっちょこちょいなんだ
器用だし何でも出来るのは出来るんだが、変なところでボケてやがる。
今の携帯も何代目だ
でも、まぁ、今回は褒めてやるよ。
口の端が上がる。
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